著者紹介

著者紹介

AGI Yuzuru(阿木 譲)

0g [ zero-gauge ]

「音楽はいまも言葉を超えている。そして、言葉はいつも心に足りない。(0g, Emptyset)」

長きにわたり、言葉を綴り、本を編み、クラブを構え、DJ/bricolage を展開してきた阿木譲の言葉だからこそ、強く、深く、胸に響く。0g[zero-gauge]、それは、音楽と音楽に表出される世界を、誰も追随できない射程の広さと深さでとらえてきた「阿木譲のEgo System」の最新形だ。ならば『EGO』から語り始めよう。

Decode の深度。1986年、CSV渋谷で『EGO』と出会う。膨大な情報量、斬新なエディトリアルと造本、全てが衝撃的だったが、なかでも、歴史的・文化的・思想的な音楽の解読の深さには驚嘆した。
Abstract の密度。1990年、島之内の Mathematic Modern。自ら立ち上げたクラブで阿木譲の DJ を初めて体験、「相似律を抽出して俯瞰する」作業を経て空間に解き放たれる音の密度に圧倒された。
Evocation の強度。1994年、湊町の cafe blue。 店のスタッフに阿木譲を紹介される。「本を読むだけではだめだ、音を聴け」と挑発してくる阿木譲という人間の存在の強度、その片鱗に触れた夜。

1994/2000。展覧会のデザイナーを探して秋山伸と出会ったのも1994年だった。以来、仕事を通じて多くの刺激を受けてきた。2000年の『プラスチックの時代|美術とデザイン』のカタログ(デザイン:秋山伸)には阿木譲のテキストも収録している。

Updating Modernism の速度。2013年、阿波座の nu things。阿木譲+秋山伸の対談という稀有な機会。同年末、この二人によって『0g』が刊行され、2014年には『0g』の刊行と連動する複合プログラム「DE/construct: Updating Modernism」および「CON/cretism」が開催された。誰も追いつけない瞬発力と驚嘆すべき持続力。阿木譲は、両立しがたいふたつの速度を自在に操り、モダニズムを更新し続けている。

2015年、紙媒体と webで展開してきた 0g は、新たな場の始動を予感させ、期待感に満ちている。「尖端音楽から全音楽史を俯瞰する」阿木の思考に触れ、「コンテンポラリー・モダン・ミュージック」の世界を体験するには、0g を読み、阿木の DJ/bricolage を体験するしかない。0g[zero-gauge]、それは、音楽と音楽によって表出される世界が、阿木譲という稀有な存在を媒介として、「人間主義的な重力圏から解き放たれた音楽」を現前させるために生み出した「音楽の Ego System」でもあるのだから。

梅津元(埼玉県立近代美術館主任学芸員/芸術学)

阿木 譲 a perfect day
http://agiyuzuru.wordpress.com/

阿木 譲 プロフィール
https://agiyuzuru.wordpress.com/about/

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